第6章 冥府の守り人 ネル・ガ

未来への橋を渡るために現れた旅人はオモイカネ
かつて海賊イシュターに生まれたクノイチであった。

そのオモイカネは9歳の頃、将来を共に生きる事を約束したオモイカネと
二人で草原の広がる大地に上陸したところ、山賊に捉えられ、
一人のオモイカネは人質に、そのオモイカネは奴隷として売られた。

奴隷とは意思の決定権が無い者をいう。
オモイカネは意思の決定権を与えられずに6年間の歳月を過ごした15歳の頃、奴隷ではなくなる。
人質となったオモイカネに合うために、牢獄を飛び出した。
「奴隷が逃げたぞ!」その言葉にも「逃げてなどいない、旅立つだけだ」と戦い、自由を勝ち取ったのだ。

旅先で迷い込んだのは、外部からの侵入者を拒む魔の森であった。

魔の森の植物達は毒を持って侵入者の前に立ちふさがる。
その猛毒の樹海の深部は冥府へ続く大穴がある。
その冥府への大穴を守る部族 ネル・ガは毒を支配する事で魔の森を作り上げた。

そのクノイチがオモイカネである事を確信したのはこの時だった。
魔の森の毒にやられた時、自らの腹に手を当て、倒れずに歩き続けた。
目の前がかすむ中、友を探して歩き続けた時、次第に体から毒が消えていったのだ。

オモイカネは病気を癒す力を持っていた。
よってレインボーラインに住むエンリ帝国、中立地満月島、海賊イシュターの3部族は病気で死ぬ事はなかった。
オモイカネが”言霊~コトダマ~”で癒してくれるからだ。
その”言霊~コトダマ~”は老化をも遅らせる事ができるため、皆、歳をとっても若々しかった。
そして次第にその生命は衰えていき、最後は自らの意思で眠りつく。
病に倒れても治療を拒否し、眠りにつく時はオモイカネが付き添い、ゆっくりとその眠りを見届けてくれるのだ。

その治癒力は解毒作用もある。

毒に犯された時に手を当てて生きる事を望んだ時、オモイカネの力が呼び覚まされた。

魔の森の樹海を超えて深部へとたどり着いた時
ネル・ガの若者が受け入れた。

その若者は15歳のタジカラヲ。
探し求めていた友。
かつて海賊イシュターに生まれ、ネル・ガに引き取られたオモイカネだった。