第2章 エンリ帝国  〜1節 獅子の群れ〜

獅子の群れは、1頭のタジカラヲと複数のクノイチにて構成される
クノイチが子を育て、食料の確保も複数のクノイチがおこなう
その間、タジカラヲはクノイチの帰りを待つだけだ、岩の上に座り、何もしない。
一見そのタジカラヲは何もしていないように見えるが、獅子のタジカラヲには大きな役割がある、
それは外敵から群れを守るための防衛である。
タジカラヲは強い力を持つ、その力は他の群れを滅ぼせる力を持ち、また、その力を抑制させる力を持つ。
なぜならば、その強い力が衝突すればどちらか、もしくはどちらも滅ぶしかないからだ。
獅子だけにあらず、この広大な大地に住む人間も同様であった

どの国の、どの部族のタジカラヲも玉座に君臨し、何もしない
農業、工業、貿易と、全てにおいてクノイチが取り仕切り、実働する。
国や部族同士のいざこざや衝突が頻繁に発生するが、その度にタジカラヲが納める
どちらかが立ち上がろうとすれば、どちらかが止め、
どちらも立ち上がろうとすれば周囲の国や部族が全力で止めるのだ。
一見戦争の無い平和な世界に映るのかもしれないが、それは違う
タジカラヲの持つ強い力は、一たび事を起こせば世界が滅びるからだ。
どの国や部族のタジカラヲも核の力を持っているのだ
それぞれが核の力でにらみ合い、たまたま均衡がとれているだけで
いつどこが爆発し、誘爆の連鎖で世界が火柱を上げてもおかしくない状態が何千年も続いているのだった

だが、その均衡が崩れるきっかけとなったのはエア王国であった
どの国や部族もタジカラヲは核の力を持つが、クノイチは核の力は持たない代わりに
それぞれ特殊な力を持っていた
その中の一つの力である炎の力をエア王国のクノイチは持っていた

エア王国は炎を支配し、その火力を動力とする工業国家であり国力は大陸内でも群を抜いていた
そしてある時、北部の海にあるギルタ列島を治める造船国であるエンリ帝国との交易により火力船を作り上げ、
大陸から海へと領土を広げようとしていた。